地球規模の温暖化など、環境の変化が激しい時代、私たちは、現状の生活をできるだけ維持しながら未来につなげていくライフスタイルとして、「持続可能(サステナブル)であること」を求めがちです。
しかし、縄文時代が約1万年も続いたのは、当時の人々が現状の生活を維持しようとした結果ではありません。むしろ自然の変化を受け入れ、「しなやかな強さ(レジリエント)」を発揮して自然環境に適応し、知恵と工夫によって生き抜いてきた証しともいえます。
2021年7月、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録されてから今年で5周年。この節目に縄文文化の価値に触れてみると、私たちにとって大切なメッセージがきっと見えてくるはずです。
縄文人の心豊かな生き方
縄文の人々は、どうやって1万年以上もの間、資源を奪い合ったり争ったりすることなく、心豊かな暮らしを営んできたのでしょうか。
それは、人が自然を管理しようとするのではなく、自然に支えられる存在として命をつなぎ、激しい気候変動の中でも自然環境に合わせた知恵と工夫によって、しなやかに暮らしをアップデートし続けたことにあります。
自然とのこうした向き合い方を通じて、縄文人に根づいたのが敬意と感謝のライフスタイル。
たとえば、貝塚は、食べた貝や動物の骨、壊れた土器や石器などが積み重なった場所で、一見するとゴミ捨て場のように見えますが、人の墓もつくられており、祭祀の場であるとも考えられています。
動植物の命をいただくことで自分が生かされていることに感謝するという縄文人の感覚は、私たちに身近な「いただきます」という精神にも通じるものです。
現代を生きる私たちにとって、縄文文化は、あらゆる変化に適応しながら心豊かに生きる大切さを教えてくれているのかもしれません。
北海道・北東北の縄文遺跡群って?
北海道、青森県、岩手県、秋田県にまたがる「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、豊かな自然の恵みを受けながら、1 万年以上にわたって採集・漁労・狩猟によって定住した縄文時代の人々の生活と精神文化をいまに伝える貴重な文化遺産です。
その価値が認められ、2021年7 月27 日、北海道・北東北の縄文遺跡群は、世界遺産に登録されました。
遺跡群を構成する道内の遺跡は、垣ノ島遺跡(函館市)、北黄金遺跡(伊達市)、大船遺跡(函館市)、入江貝塚(洞爺湖町)、キウス周堤墓群(千歳市)、高砂貝塚(洞爺湖町)の6つです。また、関連する遺跡(関連資産)として、鷲ノ木遺跡(森町)があります。
詳しくは、下記のサイトをご覧ください。
「登録5周年 縄文世界遺産」ウェブサイトリンク(北海道縄文世界遺産推進室)
自然に感謝しながら生きた
縄文人は「生活の達人」
縄文時代には、人は人以外の動植物などの自然に支えられて生きており、「自然を敬い感謝する」という感覚が根づいていました。
人間の生活が自然の大きな循環システムの上に成り立っているという自然観を土台として、縄文人の豊かな精神性が育まれていったと考えられます。
さらに縄文人は、気候や自然条件の変化に合わせて生活様式を柔軟に変化させる知恵に富んだ、いわば「生活の達人」でした。
狩猟・採集・漁労だけで約1万年もの長期間を定住することができたのは、日本列島の多様で豊かな生物生態系と、縄文人の優れた環境適応力があったからだといえます。
北海道縄文世界遺産推進室
特別研究員
- 阿部
- 千春
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「しなやかな強さ」は 縄文人の生き抜く力(中編) / 縄文人の生活の営み
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